岩陰に籠った花嫁と山猫の婿
どんな伝承か
牡鹿半島の鮎川から三里ほどの海上に網地島がある。仙台藩の流人島で、山猫が棲むため犬を飼わないという。島の長渡の阿部仁右衛門のもとへオヒデという娘が嫁いだ夜、祝いの席から花嫁が消えた。翌日、家の裏山の岩陰に坐っているのが見つかったが、戻ろうとしない。医者も行者も手が出せず、両親が問うと、すでにいい交わした男がいると答えた。実家は岩陰に小屋を建て膳を運ばせた。夜ごといい声で甚句が聞こえたが、島では婿は山猫だと噂した。やがてオヒデは痩せ衰えて死に、岩の上には山猫の抜毛が散っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承