泥田から顔を出す坊主ドロ田坊
どんな伝承か
庄内の清川に住む半左衛門は、最上川の工事に狩り出された。川の深さをよく知る者なので、田植えの季節になっても家に戻れなかった。女房のアキは手当が出るのをいいことに、毎日タバコを吸って過ごしていたが、名主に叱られて家を出、田のあぜ道から山に入るようになる。そこで見かけぬ若者と出会い、契りを重ねた。仕事を終えて戻った半左衛門が山へ行ってみると、アキは蛇を股のところに巻いていた。やがてアキは蛇のタマゴを産み、半左衛門は三下り半を渡した。あぜ道を歩くアキに、田の中から泥だらけの坊主が顔を出し、蛇のガキを産むより田植えをしろと言った。
原典より
七七番 山びこ会津の山に狩りに入った長助が、けものを見つけた。—— 東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。