かまくらの中の子供と生首
どんな伝承か
秋田の横手では、雪を積み上げてかまくらを作り、子供たちがその穴の中で遊んでいた。かまくらは十ほど並んでいたという。川井昌助という男が一つのかまくらをのぞくと、子供たちが男の屍骸を斧で切りきざんで遊んでおり、雪に血が吸い込まれていった。昌助がもう一つをのぞくと、そこでは子供たちが笑いながら女の屍骸をもてあそんでいた。しばらくすると、あちこちのかまくらから子供たちがぞろぞろと出てきて、手に手に生首をさげて笑っていたという。天保の末の話と伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。