トップ > 福岡県の伝承 > 福岡市

観音経の読経で海に湧いた真水

所在地福岡県福岡市博多区
年代不明
登場寂浄、生智、体験者、伝承者、渡海した上人僧、案内の雲水
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

建長元年、寂浄という上人僧が支那へ渡るにあたり、両三度渡った経験のある生智という雲水が案内者となり、博多から商船に乗って支那海へ進んだ。数日後に大風浪に遭い、船が転覆しそうになったので、乗組の百余人は伝馬を下ろし、わずかな食糧を携えて乗り移った。十余日漂流するうちに食も水も尽きたとき、寂浄は観音経三十三巻の転読を発議し、自分の左手の小指に灯心を絡めて種油を塗り、火をつけて灯明とした。指の皮は焼け爛れ血と膿で灯も消えかけたが、読み終えようとするころ、南方から白い泡のようなものが流れ寄り、汲むと淡水であった。

原典より

夫れは南方から泡のやうなものが海面約一段步ばかり眞白に覆ふほど現はれ出たのであるが…—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

種別から探す

霊怪談

福岡市の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』の伝承