根香寺に角を納めた牛鬼退治
どんな伝承か
高松市の西、五色台の山中にある四国霊場第八十二番の青峰山根香寺は、弘法大師と智証大師が開いた二つの院を合わせた寺である。四百年ほど前、青峰山に牛鬼が出て人や家畜を害したため、村人は弓の名手山田蔵人高清に退治を頼んだ。高清は幾日探しても見つけられず、本尊の千手観音に祈ると、満願の明け方、崖下に皿のような青く光る眼が見えた。矢は当たったが牛鬼は怒って突進し、二の矢、三の矢でようやく逃げ去った。血の跡を追うと、西へ二キロほどの定が渕で息絶えていた。高清は角を切り取り、謝礼の米十五俵とともに寺に納めて弔ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。