久住トンネル付近に来た時刻表にない機関車
どんな伝承か
昭和元年ごろの話。成田と佐原の間、山あいの久住トンネル付近を六月の闇夜に走っていた機関士が、時刻表にない機関車が正面から来るのをぼんやりと認めた。一瞬ひやりとしたが、これが同僚たちの話していた狸だと思い、目をつぶってそのまま突っ込んだ。悲鳴のような声が聞こえたものの、自分の運転する機関車には何の異状もなかったという。鉄道員の叔父から聞いた話として、回答者の友人が語ったものである。
原典より
亀崎の沖では、十月の中旬から鰯が取れる、その頃になると浜は賑わって、五時頃から九時頃まで、毎日二回は網を引く。—— 現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。