通夜に起き上がり子を諭した母
どんな伝承か
埼玉県児玉郡で、明治の中頃のこと。おタキという女性が三十代の若さで世を去り、幼い三人の子が残された。通夜の席で子どもたちが泣き続けていると、冷たくなっていたはずのおタキが突然むっくりと起き上がった。『泣いてもわしの寿命は変わらない。お前らが取り乱すと魂が成仏できない。泣くのはやめてくれ、親孝行とはおっ母さんを成仏させることだ』と生前と変わらぬ口調で三人に言い聞かせ、再びぐったりと横たわったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。