星の夜に戸をたたいた出雲の父の急変
どんな伝承か
昭和四十八年、大阪府松原市河合での話。夜十一時頃、戸をたたく音がした。風かと思ったが、どうしても自分たちを呼ぶような音なので、夫の後について玄関に出て「どなたですか」と尋ねた。だが誰もおらず、風も吹いていない。ただ星が美しく、夫は「えらい今日は星がきれいやなあ」と言って家に入った。以後音はやんだが、二人とも異様に気が高ぶり、コーヒーを飲んだりしていると「父キトク」の電報が届いた。戸をたたく音がした頃から、出雲にいる父の容体が急変していたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。