息子の事故前に三浦海岸の宿で聞いた物音
どんな伝承か
昭和五十六年八月十六日、十七歳の次男がバイクの運転を誤って事故死した。母親はそのころ息子の暮らしぶりに心を痛めていた。事故の四、五日前、彼女は親しい友人と二人で神奈川県の三浦海岸に一泊した。その夜、隣室でベッドか家具を引きずるような音がはっきり聞こえ、何人かががやがやと重い物を引く音が自分の方へ近づいてきた。同宿の友人は何も聞いていなかった。翌朝、宿の人に近くに作業場でもあるのかと尋ねると、この建物は病院を壊した材木で建てたので霊感のある人は何か感じるのだ、自分も来たころ金縛りにあったと話したという。
原典より
多田ちとせさんの友人でそれは美しい人がいた。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。