火葬場への道で消えた三人の女
どんな伝承か
天草の本渡市(現・天草市)で語られる話。本渡市の火葬場へ向かう道は、今は舗装され立派になったが、昔はひどいでこぼこ道だった。ある時、タクシーの運転手が「通りたくないが近道だし」と思いながら行くと、小雨の中に女が三人立っていた。乗るだろうと思い徐行して「乗るか」と聞くと首を振る。おかしいなと思いそのまま進み、ふと後ろを振り向くと、三人の姿はどこにもなかった。驚くと同時に車ががくんと揺れ、運転手はいわゆる鞭打ちになって困った。長い間、火葬場へ行く道では幽霊に遭うと噂されていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。