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聊の事より奇怪を談じそめる事

所在地東京都文京区本郷(三念寺)
年代寛政期(江戸後期)
登場根岸鎮衛、著者、語り手
出典耳嚢(みみぶくろ)

どんな伝承か

安永三年ごろ、本郷の三念寺門前町に住む身分の軽い御家人の家で、持仏堂の阿弥陀仏がひとりでに読経なさるという評判が立ち、信心深い老若が仏壇を拝みに集まった。だんだん調べてみると、持仏堂の裏は糀屋との境になっていて、その境に蜂が巣を作っており、子蜂が朝夕じじと鳴く音を、ふと仏像の読経と言いはやしたのだとわかった。皆は笑い、三十日あまりの夢から覚めたという。ささいなことから怪しい噂が始まる例として記された話である。

原典より

持仏堂の後は糀屋の家境なるに、右境へ蜂の巣をくひて、子蜂共爾々(じ/\)と朝夕鳴しを聞て、与風仏像の読経し給ふと言罵りしにて有りし由。—— 耳嚢(みみぶくろ)(根岸鎮衛・江戸随筆・怪異・1809年(文化6年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

耳嚢(みみぶくろ)(根岸鎮衛・江戸随筆・怪異・1809年(文化6年))

『耳嚢(みみぶくろ)』は、根岸鎮衛(守信)が勤めの合間に古老や訪ねて来た人から聞いた話を書き留め、佐渡在勤のころからまとめ直して文化六年仲秋に結びを付した随筆である。武家・町人の逸話や奇談に加え、狐・狸・幽霊・妖獣などの怪異、羽蟻や虫歯・ものもらいを治めるまじない、薬の秘法を、一項ずつ題を掲げて記す。この本文は著者の自叙と巻之一から巻之十まで(巻之四を欠く)の抜粋で、巻末に著者の結びと『耳嚢副言』の一部を置く。

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