物思ひが母に通ふ
どんな伝承か
語り手は病を得て床に就いたが、誰にも知らせず、実家の父母にも告げないまま二階の一室に閉じ籠っていた。ところが一昨夜、実家の母が突然訪ねて来て奇妙なことを言う。夜十二時ごろうつらうつらしていると、髪も結わず痩せ衰えたお前が枕もとで自分の顔を覗いており、どうしたのかと尋ねると二言三言言いかけて目が覚めた、心配になって父に願って来てみたらこの始末だった、というのである。その夜十一時ごろ夫が外出し、一人で実家を懐かしんでいるうちに眠り、夫の帰った十二時に目を開けたのと時刻も姿もぴたりと合っていた。
原典より
之は、私がつい近頃経験したことであります。—— 心霊現象と死後の生活(梶天真・心霊研究・死後の生活) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象と死後の生活(梶天真・心霊研究・死後の生活)
『心霊現象と死後の生活』は、梶天真が諸家の所説を集めて編んだ心霊研究の書である。欧米の心霊研究の動向、死後の生存と輪廻転生、幽霊・神憑り・交霊・精神感応などの現象を、松村介石、森田正馬、小熊虎之助らの説や、雑誌『婦人世界』『変態心理』に載った論を引いて紹介する。四篇に分けて各篇を小見出しで細かく区切り、霊媒ユーサピアの実験、霊能の贋物の種明かし、占い棒による水脈探しなどの事例も載せる。