鎮魂の中に現れた衣冠束帯の守護霊
どんな伝承か
大正五年の春、著者は鎮魂によって霊的な体験を得ようと懸命だった。同僚の宮澤虎雄理学士が先に神懸りの状態となり、その守護霊が、審神者の著者に向かってこれから汝を鎮魂してやると命じた。初めは著者の頭にさまざまな考えが浮かぶたびに叱られて失敗したが、何日も繰り返すうち、七、八回目に両手から全身の感覚が消え、宙に浮くようでいて頭だけは冴えわたる状態になった。やがて目の中が青く澄み、一間ほど先に衣冠束帯の人が斜めに立つ姿が現れた。五十過ぎで頬の豊かな長髪の人で、一、二分で煙のように消えた。後で誰の霊かと尋ねると、宮澤君の守護霊は汝自身の守護霊ではないかと一喝したという。
原典より
身には衣冠束帯をつけ、やや斜めに自分と向き合つて立つてゐるが、しかし俯目勝にしてゐるので視線と視線とは一致しない。—— 心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心靈講座(浅野和三郎・心霊研究・講座・1928年(昭和3年))
『心靈講座』は、浅野和三郎が昭和三年に著した心霊研究の講義書である。催眠現象から人間に霊魂が宿ることを説き起こし、欧米の心霊研究の歩みをたどったうえで、物質化・心霊写真・直接談話・卓子浮揚・物品引寄・霊視・霊言・自動書記の各現象を、クルックスやモーゼスらの実験と記録に拠って検討する。第一講から第十講までと結論から成り、結論では心霊研究が人生や信仰に及ぼす影響を論じ、新霊魂説の七大綱領の訳を載せる。