盗まれたフィルムと富士山の代わりの「通力」
どんな伝承か
明治四十四年一月八日、山川健次郎の実験は山川側が乾板を入れ忘れて成り立たなかったが、新聞は根も葉もない暴露記事を書いた。汚名をそそごうと福来は、外から放射線を当てる疑いの出ないロールフィルムを使うことにし、十三日に「通力」の二字を題とした。ところが来客を装った妨害者がフィルムを盗み、夫人の透視で屋外に捨てられたのを見つけたが、中には脅迫状が入っていた。学者の実験は止んだが、長尾家では家庭での試みが続いた。二十四日、判事が額の富士山を写すよう頼むと、夫人は統一に入るなり御通力と口にし、十三日に念じた「通力」が現れた。これが最後の念写となったという。
原典より
この時念写妨害者が来客と称して現われ、ゴタゴタを引き起し、まんまとフィルムを盗み去った。—— 新心霊科学事典 ― 人類の本史のために(田中千代松(編)・心霊科学・超心理学 事典・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新心霊科学事典 ― 人類の本史のために(田中千代松(編)・心霊科学・超心理学 事典・1984年(昭和59年))
『新心霊科学事典――人類の本史のために』は、田中千代松が一九八四年に編んだ心霊科学の事典である。十九世紀半ばのハイズヴィル事件に始まるスピリチュアリズムと心霊研究・超心理学の用語、国内外の研究者・霊媒・研究団体を、多くの寄稿者の執筆による項目で解説する。巻頭の論説「人類の将来」、五十音順の「現象編」と「人物・組織編」、巻末の「総括と展望」とあとがきから成る。