鶏物語(人語を話す鶏)
どんな伝承か
市ヶ谷佐内坂に住む旗本の用人が、主家の費えを作るため平塚の領地に赴き、村役人の家に草鞋を脱いだ。翌日、庭先で蟷螂が蜻蛉を捕らえ、それを見つけた雌鶏が蟷螂を啄んで雛に与える様子を見て、用人は妙な胸騒ぎを覚える。その夜、隣室で寝ていた村役人夫婦が、明日は客への馳走のためその鶏を殺そうと話すのを聞いてしまい、さらに竹縁の下の巣から、母鶏が雛たちに「明日は自分が殺されるから用心せよ」と語りかける人語まで耳にした。恐ろしくなった用人は翌日、鶏を雛ごと譲り受けて江戸へは帰らず、山中の聖のもとに身を寄せ、そのまま数十年を過ごしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))