空家の食卓で踊る骨壺
どんな伝承か
大正十二年五月、雑誌記者小林が淀橋柏木の堂々たる空家を安く借りて移り住んだ。六月のある夜、留守番をしていた細君がうとうとしていると、傍の食卓の上に骨壺が現れて踊るように動いた。同じ怪異は三晩続き、細君は夢に見た骨壺そっくりの物を庭の土中から掘り当てる。物識りによれば、前に住んだ鉄道省参事の妾が主人の骨をこの地に埋めたものらしいという。場所が四谷に近いことから、界隈の者はこれを新四谷怪談と呼んで納涼の話題にしたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話