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富士山頂の観測所に灯った薄紅白の火

所在地静岡県富士宮市(富士山頂高層気象観測所)
年代昭和九年七月十三日
登場勝亦、沼津測候所の技師
出典日本怪談実話

どんな伝承か

昭和九年七月十三日の夜、富士山頂にセントエルモの火が現れた。見たのは富士山頂の高層気象観測所に詰めていた沼津測候所の勝亦技師で、新聞記者に語ったところでは、その夜は雷雨が激しく、八時半から九時二十分までの五十分間、倉庫の屋根や風力計、風信機、日照計などの先に、長さ五ミリほどの薄紅白の柔らかな光がともり、蝋燭の炎のように揺れた。稲妻が走る間は消え、止むとまた光り、以前筑波山や伊吹山で見られたものと違って棟木など広い範囲に現れ、頭髪にも少し認められたという。霧や雪で空中に電位差が生じた時に物の先端が放電する現象で、危険はないと技師は説明した。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))

『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。

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