夢告と愛犬が見つけた七福神の像
どんな伝承か
大正十三年八月、広島市下中町に住む敬神家の久保健輔は、日頃から小町の白神神社を信仰していた。月の初めから三晩続けて東練兵場のあたりから光が出る夢を見、翌晩には誰かが戸を叩いて拾い物があると告げる夢を見た。その翌朝四時ごろ、いつものように愛犬ポチを連れて白神神社へ参ると、ポチが急に吠えて駆け出し、境内へ向かう踏切近くの草むらに捨てられた塵の中から新聞紙の包みを引き出した。包みから落ちた光る物を拾うと、親指ほどの古びた七福神の像だった。健輔は白神神社の賜物と喜んだが、そのまま自分の物にはできず、西署に拾得物として届けた。
原典より
* 弘法大師の像 (332)* 釈迦像を砕く男 (333)* 山の神の怒り (334)* 怪火を見た経験 (336)* 帽子のない水兵 (337)* 狸の信号提灯 (338)* 妖女の舞踏する…—— 日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。