町年寄が許した高遠城下の弐夜三日
どんな伝承か
信濃国の高遠城下では、慶応三年十月に入ると町々に御札が降り始め、下旬には連日のように多数が降って、降るたびに言い触らしては夜明かしの大騒ぎとなった。際限がないことを案じた町の丁代たちの願いを受け、二十四日に町年寄の池上本右衛門らが、天下泰平と五穀豊熟を祈って二十六日から二十八日まで弐夜三日の祭礼を行いたいと申し出て許された。祭りでは献燈や笹・幟が立てられ、若者や子どもが俄、手踊り、裸踊りなどを繰り出して町を回り、最後は町年寄の前で踊って、口論ひとつなく無事に終わったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。