念写の始まりとなった心の字の実験
どんな伝承か
明治四十三年十二月十六日、福来友吉は黒紙で幾重にも包んだ種板に「一心」と書いた紙を貼って丸亀の菊池に郵送し、長尾夫人にこの二字を念じ込んでもらうよう頼んだ。ところが板は夫人に知らされないまま長尾家の床の間の奥に隠され、別の実験の折に夫人が透視で気づいて念を送ったため、狙いどおりの実験にはならなかった。二十五日に受け取って石川写真館で現像すると、全体が漆を塗ったように真っ黒に感光していた。翌二十六日の午後、福来が持参した種板に「心」の字を念じてもらうと、文字は出なかったものの板の右端だけに正体の分からない影が現れ、福来はこれを念写の最初の現象とした。
原典より
併し、其の種板が如何様になつて居るならんと思ひ、念のために之を受取り、石川寫眞館に行つて現像して見た所、其の種板は黒漆を塗り付けた様に真黒に感光して居つた。—— 心霊の現象(福来友吉) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊の現象(福来友吉)
『心霊の現象』は、福来友吉が数年来諸雑誌、とくに弘学館の『ニコニコ』誌に通俗的に書いた文章から、心霊問題にかかわるものを選んで編んだ小冊子である。明治四十三年から長尾夫人・高橋夫人を相手に試みた念写の実験の経過を詳しく記し、夢による知覚や治癒、潜在精神から生じる病やヒステリーの事例を挙げる。念写、希望のニコニコ、「我の能力」と人性、生命学と心霊研究、動物主義、夢、潜在精神、精神的養生の諸篇を収め、各篇を節に分ける。