助手の手違いで無意味に終わった山川博士の実験
どんな伝承か
念写の成功を重ねた福来友吉は、自分ひとりの実験にとどまるうちは学術上の事実とは言えず、ほかの学者が実験して確かめる必要があると考え、その申し出を待っていた。そこへ物理学者の山川先生から実験の申し込みがあり、長尾家も福来も大いに喜んで迎え、明治四十四年一月八日に行うことが決まった。ところが山川先生の助手を務めていたある理学士が準備で手違いを起こしたため、実験は何の意味も持たないまま終わり、かえって世間に疑いを抱かせる結果になった。福来はこれをこのうえなく残念なことだったと嘆いている。
原典より
所が山川先生の助手たりし某理学士が、誤つて実驗の準備に手違いを生じたりしたため、実驗が無意味に終り、世人をして疑惑の感を抱かしむるに至つたのは、実に遺憾の極である。—— 心霊の現象(福来友吉) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊の現象(福来友吉)
『心霊の現象』は、福来友吉が数年来諸雑誌、とくに弘学館の『ニコニコ』誌に通俗的に書いた文章から、心霊問題にかかわるものを選んで編んだ小冊子である。明治四十三年から長尾夫人・高橋夫人を相手に試みた念写の実験の経過を詳しく記し、夢による知覚や治癒、潜在精神から生じる病やヒステリーの事例を挙げる。念写、希望のニコニコ、「我の能力」と人性、生命学と心霊研究、動物主義、夢、潜在精神、精神的養生の諸篇を収め、各篇を節に分ける。