インフルエンザから急逝した長尾夫人
どんな伝承か
山川博士の実験は無意味に終わったが、能力者の長尾夫人さえ元気で実験を続けていれば、念写の問題は明治四十四年のうちに決着がついていたはずだと福来友吉は信じていた。ところが夫人は一月二十六日にインフルエンザにかかって床についた。夫人も福来も一時の病ですぐ治ると思っていたが、病は肺炎から肋膜炎へと進み、二月二十六日の午前九時三十分に夫人は亡くなった。有力な実験の相手を失った念写の問題は、何の解決も見ないまま、うやむやのうちに葬られてしまった。福来は天に意地悪をされたと悔やんでいる。
原典より
インフルエンザは肺炎に続じ、更に肋膜炎に続じ、二月二十六日午前九時三十分、夫人は長逝して了つた。—— 心霊の現象(福来友吉) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊の現象(福来友吉)
『心霊の現象』は、福来友吉が数年来諸雑誌、とくに弘学館の『ニコニコ』誌に通俗的に書いた文章から、心霊問題にかかわるものを選んで編んだ小冊子である。明治四十三年から長尾夫人・高橋夫人を相手に試みた念写の実験の経過を詳しく記し、夢による知覚や治癒、潜在精神から生じる病やヒステリーの事例を挙げる。念写、希望のニコニコ、「我の能力」と人性、生命学と心霊研究、動物主義、夢、潜在精神、精神的養生の諸篇を収め、各篇を節に分ける。