丸亀の座敷で三つの封入文字を当てた長尾郁子
どんな伝承か
明治四十三年十一月、福来は京都の今村博士と共同で調べるため東京を発ち、丸亀の長尾郁子夫人のもとへ向かった。実験は十二日から四日間に十五回行われ、当たり外れはほぼ半々だったものの、透視の力があることは確かめられた。十二日の昼前、福来・今村博士・菊池文学士・大河内医学士・小野氏が長尾家の座敷にそろい、実験物は別室で用意された。福来が半紙に書いて黒檀の小箱に収めた文字を、夫人は合掌して六分半ほど心を統一したのち、水・天・吉と答えた。続く今村博士の「三吾木」、大河内医学士の「赤十字」も、それぞれ五〜七分の統一でそのまま言い当てたという。
原典より
水こ言ふ字があります。天こ言ふ字、吉こ言ふ字がござります。—— 観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究)
『観念は生物なり』は、福来友吉が諸雑誌に発表した論文を集めた心理学と心霊研究の論集で、日本心霊学会刊、序は大正十四年春に箕面山の麓で記されている。観念と身体の関係、夢、潜在精神と病気、プランセット(自動書記)、狐憑病の伝染や尼寺のヒステリー、宮本武蔵の剣道などを論じる。明治四十三年以来接した御船千鶴子・長尾郁子・三田光一ら八人の通力者の透視と念写の実験も報告し、「観念と身体との関係」から「生命学と心霊研究」までの十四篇を収める。