三方の上に現れた諸社の御守
どんな伝承か
二十八日、出雲へ発つ八幡大神が途中で富田家に寄るというので、座敷を清め、三方に神酒や鰯を供えて待った。昼前、八幡大神とその后神、惣社大神と后神、三体大神と后神に、途中で一緒になった長壁大神や琴平大神も加わり、男神は馬、女神は岩舟で庭に降りて座敷に通ったと春が言う。父は礼服を着け、早川竜之助も水を浴びて控えていると、神酒を載せた三方の上に、奥州塩竈の守りや加藤清正の守り、水天宮の守りがどこからともなく現れ、八幡大神の土産だと春が告げた。傍目には春は黙って座っていただけで、神々は昼過ぎに玄関から出雲へ発ったという。
原典より
さて今日は八幡大神出雲へ行ぜ玉ふ日にて、其行きしなに吾家へ立よらせ玉ふといふ事故、座敷をはき清めて三方の上へ神酒、鰯など取載せ備置待奉るに、…—— 近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。