本書の成り立ちと差別語の扱い
どんな伝承か
本書は、著者が長年続けてきた聞き書きの取材で得た知見のうち、近ごろの人びとが見聞きしたことがなさそうに思われる話を選んで収めたものである。取材はあらかじめ人と会う約束を取りつけず、目星をつけた土地を訪ねて居合わせた住民に声をかけるやり方で重ねられた。原稿は河出書房新社の西口徹氏に託され、相談のうえ『村の奇譚 里の遺風』と題して刊行された。本文には明らかな差別語が出てくるが、それぞれの状況下で実際に用いられていた言葉の記録であるとして、あえて語を換えずに残したと断っている。
原典より
昭和三十年(一九五五)前後の高知市西部でのことである。—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。