池尻の下女が起こす家鳴りの怪
どんな伝承か
根岸肥前守の『耳袋』に、評定所の書役の大竹栄蔵から聞いた話が載っている。栄蔵の親の代、家で天井に大石が落ちたような音がしたり、行灯が宙に舞い上がったりと怪しいことが絶えなかった。ある老人が、池袋か池尻あたりの女を召し使っていないかと尋ね、調べると下女は池尻の者だった。すぐに暇を出すと怪異はぴたりと止んだ。池尻村の産土神は氏子をひどく惜しみ、村の女がよそへ出て男と交わると必ず怪しいことが起こると言い伝えられているという。川柳ではこれが池袋の女の話として詠まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。