宝剣をくわえた竜宮の大竜と海女の母娘
どんな伝承か
元暦二年、源義経が壇の浦で平家を滅ぼしたとき、神鏡と神璽は取り上げたが、宝剣は西の海に失われた。後白河法皇が賀茂の社に十七日籠もって祈ると、長門国赤間が浦の老松・若松に聞けとの神託があった。義経が海女の母娘に命じると、二人は一日一夜潜って浮かび上がり、上洛して法皇に奏上した。竜宮らしい所で珊瑚の楼門、瑠璃の御殿を訪ねると、官女に案内された大広間で、長さ二丈の大竜が剣をくわえ、七、八歳の童子を抱いていた。大竜は、宝剣はもともと竜宮の宝で素盞嗚尊に取られていたのを、源平を戦わせて取り返した、抱いているのは安徳天皇だと語ったという。
原典より
源義経は平氏を壇の浦に滅亡させた時、三種神器のうち神鏡と神璽は海上に浮んでいたのを取上げて朝廷に奉ったが、宝剣は西海に失ってしまった。—— 講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。