吉祥院の洞窟で掌に現れた金塊
どんな伝承か
吉祥院の評判を聞いてやってきた行者に内田専亮という人がいた。内田は那智の滝で行を積み、物品引き寄せの秘法を身につけたという。前座と霊媒の二役がうまく合わねば成功しないというので、伊予田英照が前座を引き受けた。入行用のまっ暗な洞窟に灯明をともし、英照が不動尊に一心不乱に祈って呪文を切ると、風もないのに灯明が激しく揺れ、坐した内田の口から不動明王を名のる声が出た。那智山の滝に住む神竜の如意宝珠だという言葉とともに、差し出した掌の上に五色に輝く玉が現われた。あるとき手品だろうと意気込んだ鉱山会社の技師の前では純金の塊が現われ、技師はすっかり信じてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・1973年(昭和48年))
『日本の四次元』は、鈴江淳也が昭和四十八年に著した超常現象の取材記である。幽霊の出る家や競馬場、古武士の怨念、守護霊、心霊写真、新幹線の四次元地帯、心霊治療、物品引き寄せ、てのひら療法、比婆山の怪獣やツチノコ、死後も占う易者犬などを、当事者を訪ねて聞いた話として記す。「幽霊と怨念の世界」から「動植物の驚異」まで六部に分け、あとがきで大陸書房刊『日本の奇談』『現代の怪奇』に続く第三弾と述べ、問い合わせ先を挙げる。