不動明王の怒りで途絶えた引き寄せ
どんな伝承か
伊予田英照も授かった舎利石を肌身離さず持っていたが、亡くなってから袋を開けると石は姿を消していた。役目を果たして元のところへ帰っていったのだという。跡を継いだ長男の諦覚は高野山大学を出た僧で、夫人かなよを霊媒に英照とともに物品引き寄せを続けた。ところが昭和十八年ごろ、あまりにも頻繁に術をやりすぎたため不動明王が怒り、授けた舎利石を粗末にする者が多い、もうこれ以上は与えることができぬと告げた。以来いくら試みても神仏も天狗も現われなくなった。行が行われた山腹の洞窟は大雨で半ば埋もれたが、不動尊はいまも信仰を集め、三十個あまりの舎利石が秘宝として吉祥院に残されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・1973年(昭和48年))
『日本の四次元』は、鈴江淳也が昭和四十八年に著した超常現象の取材記である。幽霊の出る家や競馬場、古武士の怨念、守護霊、心霊写真、新幹線の四次元地帯、心霊治療、物品引き寄せ、てのひら療法、比婆山の怪獣やツチノコ、死後も占う易者犬などを、当事者を訪ねて聞いた話として記す。「幽霊と怨念の世界」から「動植物の驚異」まで六部に分け、あとがきで大陸書房刊『日本の奇談』『現代の怪奇』に続く第三弾と述べ、問い合わせ先を挙げる。