雨を告げる水虫の薬指
どんな伝承か
京都府の水防主管室に勤める上田隆夫が、左手の薬指の不思議な働きに気づいたのは、豪雨を言い当てた二か月前の四月下旬だった。雨が降る八時間から十時間前になると指がうずき、むずがゆい程度なら小雨、鈍い痛みなら大雨と、うずき方で雨の量まで分かるのだという。もとは兵役中に足にうつった水虫で、やがて薬指にまで広がり、どんな治療も効かなかった。不名誉な病なので黙っていたが、豪雨の予報を当ててから府庁じゅうの評判となり、府政新聞にも書かれた。のちには晴れや曇りまで当てるようになり、上田は指にこよりを巻いて一礼してから予報を告げるという。
原典より
雨が降る八~十時間前になると、左手の薬指がうずき出して止まらないのだ。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。