バス停で乗せた和服姿の娘の消失
どんな伝承か
車が亡霊を運ぶという話は各地にあり、昭和四十五年二月のはじめには福岡県でも報告があった。夜八時を回ったころ、西鉄のワンマンバスが遠賀郡遠賀町の島津バス停で、和服を着た美しい娘を一人乗せた。ほかに客がいなかったので運転士の印象に残ったが、しばらくしてバックミラーをのぞくと娘の姿がない。振り返ると座席は空っぽで、バスは走り続けており、次の停留所にもまだ着いていなかった。営業所は大騒ぎになり、同じ娘らしい亡霊を乗せたが途中で消えたというマイカーの運転者もこのあたりには多く、噂が噂を呼んでいるという。
原典より
和服姿の美しいお嬢さんで、他に乗客は一人もいなかったところから、印象づけられたものだが、ややあって、ひょいとバックミラーを覗くと、姿がない。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。