ふさ子さんと亡き叔母の霊
どんな伝承か
著者が信州各地の山村を回っていたとき、諏訪の町で諏訪神社の禰宜である山中某を訪ね、その妹ふさ子と親しくなった。ふさ子は町の小学校の教師で、自分の叔母は霊と肉が分離する現象をよくやってみせると自慢した。夜、神社の前の農家を訪ねると、叔母は神がかりの状態になってマッチや鉛筆はもちろん、どこかの神宝らしい曲玉を五つも引き寄せ、それは畳の上でぴかぴかと光っていた。その後、著者が慎重にしまっていた紙幣が消え、数日後に訪ねると家中がひっくり返る騒ぎで、仏壇の戸が開いて蠟燭が転げ出し、叔母の位牌の下に折り目まで同じ十円札五枚が置かれていた。ふさ子は結婚して北海道へ渡った後も四、五度発狂したようになり、そのたび叔母の姿を目の前に見たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。