半田付けの容器を透かした是空の二字
どんな伝承か
第三十二回目の実験は、著者が書生時代から恩を受けていた東京神田の今村力三郎夫妻に、実験物の調製と送付を依頼して行われた。明治四十三年十二月六日、小包で実験物三個が著者の寓居に到着し、即夜、能力者に透視させた。三個のうち二個だけを透視済として返送し、一個は念のため止め置いた。実験物は小さな容器を全部半田付けにし、その上を二、三枚の白紙で糊付けして一々割印を捺し、さらに細紐で括り上げたものであった。透視の結果は、一個には般若心経の一句である是空、もう一個には正方の二字とされた。十二月七日、今村家から二つとも的中驚嘆という電信が届き、残る一個の、足立無声と刻された名刺も的中したと知らせがあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
修養と通力(高橋宮二(逐堂生)・大正2年(1913年)前後)
明治四十三年(1910年)から大正二年(1913年)にかけて、著者高橋宮二が体験した精神修養と霊能力(通力・千里眼)に関する記録。藤田靈齋の深呼吸修養法から始まり、日本アルプスでの深山幽谷修行を通じて、精神修養による霊能力の発現を理論化・実践化する過程を記述。御船千鶴子・長尾郁子といった著名な千里眼能力者の事例と、著者の配偶者による透視・念写能力の発現記録を中心に展開。