芦原金次郎の発病経緯
どんな伝承か
芦原金次郎の父は越中高岡藩士の身分ある馬絵師で、維新となって妻子を連れて江戸に出た。金次郎は埼玉県の深谷の櫛問屋に入って櫛職人となり、二十歳のときに東京へ出て発病したといわれる。その際、空の星を指して、あの星が自分を将軍様として迎えに来る星だと言ったと伝えられる。二十四歳で結婚したが懲役に処せられ、妻に逃げられて離別した。その翌年の明治八年頃から「芦原将軍」と自称しだし、精神の変調が進んだという。妻との不和と離別に病の原因を見る向きもある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶(川村邦光・1989年(平成元年))
『幻視する近代空間 ―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶』は、川村邦光が一九八九年に著した近代日本の民衆の心性をめぐる論考である。明治の「血税一揆」の流言、トラホームと〈迷信〉、狐憑きと精神医学、「脳病」「神経病」、座敷牢と精神病者監護法、芦原将軍や出口なおの神がかり、祖先教と靖国の霊魂の管理を、新聞記事や医学書、調査報告から読み解く。はじめにの後に三部と終章「近代日本と霊魂の行方」を置き、あとがきで結ぶ。