一升徳利を枕に化物を退けた太郎兵衛
どんな伝承か
さぬき市前山の女体山、その北の麓に太郎兵衛屋敷の跡と呼ばれる場所がある。太郎兵衛はそこにひとりで住んでいた男で、たいそうな酒好きだったという。毎晩のように酒を飲んでは、一升徳利を枕にして寝てしまう。ある夜、化物が屋敷にやって来て太郎兵衛を食おうとした。ところが当人は少しも動じることなく寝入ったままである。さすがの化物も手の出しようがなく、とうとう食うことができずに終わったと伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか)
『ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌』は、武田明・高橋克夫らが香川県長尾町の前山地区の暮らしを記した民俗誌である。祭りの項に続く「口承文芸」の項を昔話と伝説・世間話に分け、昔話は星越・大多和・譲りはの古老の語りを話者の名を添えて土地の言葉のまま書きとめる。伝説と世間話には中津・大多和・ゆずりはなどの天狗石や川女郎、首切れ馬、桂洞法印の化物寺の話を収め、項の末尾に執筆者の名を記す。