大木を手折る玄蕃の馬牽き道
どんな伝承か
会津の城で玄蕃に投げられた越後の関取の敵討ちを名目に、越後からさらに大力の者が楢原を目指し、氷玉峠の間道を急いだ。大内宿までたどり着くと、沿道の並木が無惨にへし折られ、なぎ倒されている。深山の物語に出る天狗の仕業かと茶屋の女に尋ねたところ、玄蕃が駄馬を牽いて通りすがりに、邪魔になる樹木を手折って通った跡だと聞かされた。あれほどの大木を手折る怪力者と手合わせしては負けるが必定、命も危ういと観念し、男は大内宿からくるりと西へ引き返して越後へ帰ったという。この道は今も玄蕃の馬牽き道と呼び伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。