玄蕃の妹も力持ち
どんな伝承か
玄蕃の妹は隣家へ嫁いだが、馬牽きをする夫が大晦日の晩になっても帰らず、年越しの米もないので、兄の家へ行って内緒で一俵貸してほしいと頼んだ。玄蕃が雨戸を開けておけと言って米一俵を片手で掴んで投げ込むと、妹も家の中で片手で鞠を受けるように受け止めた。しばらくして夫が帰ったので、妹は米を返すと言って片手に一俵を提げて来て、こっそり投げ込み、兄もまた片手で軽々と受けた。俵には松葉を鰓に刺した歳暮の大塩鮭が結い付けてあった。女に力持ちが生まれるとその力の遺伝は絶えるといわれ、それ以来、両家とも力持ちは出ていないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。