乾板に浮かんだ満月のような白い丸
どんな伝承か
明治四十三年、福来友吉は撮影済みで未現像の写真乾版を丸亀の長尾郁子に透視させ、「高」の字を的中させた。返送された乾版を現像すると、外部感光するはずのない乾版に標的文字以外の説明不明な感光現象が現れた。念力作用ではないかと考えた福来は、十二月二十四日に丸亀へ飛び、二十六日、郁子に「心」の一字を種板に念じ込ませた。郁子は天照皇太神宮・南無観世音大菩薩と念唱し汗を流したが、この回は「心」の字は現れず奇妙な雲状の像が浮かんだ。翌二十七日、単純な○を念写させると黒い乾版に白い丸が見事に写った。
原典より
黒の乾版に白くうきでた丸は、暗天に輝く満月のようであった。—— 霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・1983年(昭和58年))
『霊術家の饗宴』は、井村宏次が一九八三年に著した近代日本の霊術家の歴史である。明治から昭和初めにかけて、気合術・催眠術・霊子術などで民衆の病や苦しみを救おうとした霊術家たちの運動を、当時の新聞記事や刊行物、関係者の家族への取材をもとにたどる。プロローグと六章、エピローグからなり、浜口熊嶽、桑原天然、福来友吉と千里眼事件、太霊道の田中守平を章ごとに取りあげ、霊術ブームと取締法による衰退までを描く。