命名式で弦を鳴らす鳴弦の儀
どんな伝承か
弓矢が武器の主役だった時代ははるか昔だが、弓で悪いものを払う習わしはいまも儀式の中に残っている。浩宮徳仁親王の命名式のときにも、宮中では古式にのっとって鳴弦の儀が行われた。当時の発表によれば、鳴弦役が白木の弓の弦を、オウと掛け声をかけながら引きしぼり、悪鬼退散の祈りをこめてビュンと放つ儀式で、矢は射ずに弦を鳴らすだけだという。地方の行事には、高い木の梢まで登って実際に矢を射るものもまだ残っていると著者は付け加えている。
原典より
鳴弦というのは、鳴弦役が白木の弓の弦(つる)を「オウ」とかけ声をかけながら引きしぼり、悪鬼退散の祈りをこめてビュンと放つ儀式だと当時の発表にある。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。