七千組目に集まった祝福
どんな伝承か
区切りのよい数字が出ると、人はそれを祝いたくなるらしい。新宿生活館は結婚相談から簡易な挙式まで引き受ける公共の施設だが、ここで七千組目にあたる式が特別に盛大に営まれた。晴れの当事者は目黒区の福富淳と、小学校教師の今井静の二人である。式には都知事の代理まで顔を出して記念品が贈られ、さらに船会社が新婚旅行として伊豆大島への招待を、熱川温泉の旅館が宿の無料招待を申し出た。数そのものに吉凶があるわけではないのに、切りのよい数はこうして祝福を呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。