植えた人が死なねば実らぬビワの木
どんな伝承か
ビワの木は全国的に嫌われる木で、庭に植えると病人がうなるなどともいわれる。神奈川県小田原在の曽我村に住む作家の尾崎一雄は、『ビワの木は植えた人が死なないと実がならない』と村の人たちから教えられたが、さいわいにも自分は生きているのに実生のビワに実がなった、となにかの随筆に書いていたと著者は記している。ヨーロッパにもキョウチクトウを不幸を招く不吉な木として嫌った例があり、日本でも足利時代の記録には、俗家に植えるものではない種類として柑類・梧桐・芭蕉・紫荆・款冬などが挙げられている。
原典より
病人がうなるなどと、ビワの木がどうしてこんなに全国的に嫌われるようになったか…—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。