電柱に結ばれた作祭りの唐辛子
どんな伝承か
秋田県由利郡玉米村(現・東由利村)を初秋のころに通った旅行者は、穂の出そろった田んぼのなかや耕地のなかの道路沿いの電柱などに、杉の葉といっしょに、まだ青いままのトウガラシの実を注連縄でしばった物がくくりつけられているのを見ることができる。何のマジナイかと村の人に問えば、こうしておくと稲田にスズメも寄りつかず、病虫害にもかからないのだと教えられる。これは同地の二二部落、五〇〇余戸の農民たちが鎮守の氏神の前で敬虔に行った「作祭り」のシンボルであり、晩秋の収穫が終わるまで毎日、豊作を祈るものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。