電柱に結ばれた作祭りの唐辛子
どんな伝承か
秋田県由利郡玉米村(現・東由利村)を初秋のころに通った旅行者は、穂の出そろった田んぼのなかや耕地のなかの道路沿いの電柱などに、杉の葉といっしょに、まだ青いままのトウガラシの実を注連縄でしばった物がくくりつけられているのを見ることができる。何のマジナイかと村の人に問えば、こうしておくと稲田にスズメも寄りつかず、病虫害にもかからないのだと教えられる。これは同地の二二部落、五〇〇余戸の農民たちが鎮守の氏神の前で敬虔に行った「作祭り」のシンボルであり、晩秋の収穫が終わるまで毎日、豊作を祈るものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。