初恋のたたりを説く天元教の人形流し
どんな伝承か
初恋のたたりを説く天元教という宗教があった。本庁は東京都の国電大崎駅から品川に向かって高台を登りつめたところにある二階建ての建物である。教祖の難波寿一は幼くして神童のほまれ高く、小・中学校から名古屋高校を首席で卒業し、二七歳で天元教をおこしたという。教典によれば、恋された側は『思いの難』を、恋した側は『恋慕の難』を、相手が結婚した年を起点として一年、三年、五年と奇数年ごとに受けるとされる。難よけには、与えられた人形に初恋の相手の似顔と姓名を書き入れて七日七夜祈り、最終日に近くの川へ流すか焼き捨てればよいといい、信者は全国六万人を号した。
原典より
たとえ本人は気づかずとも恋された方が結婚したときを起点として一年、三年、五年の奇数年ごとに災いをうける。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。