借金取りから隠れる貧乏神の笹神様
どんな伝承か
茨城県の旧協和町のある家では、いまも旧暦でコト八日を営み、百まなこと呼ぶ目籠と笹神様を祀る。二月も十二月も七日の晩に作る。笹神様は貧乏神で、暮れには借金取りから逃れるため裏に隠れるといって屋敷の裏に祀り、年が明けると大いばりで表から出ていくので前庭に作るという。そばを打って笹神様の上にかけ、家でも食べる。前日にはけんちん汁などのご馳走をこしらえ、当日は戸口や窓のすべてに柊の葉を挿した。
原典より
笹神様は貧乏神で、暮れは借金取りから逃げるために裏に隠れるといって屋敷裏に祀り、年を越すと大威張りで前から出ていくので前庭に作る。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。