台石にされて怒った五郎沼の古碑
どんな伝承か
赤石村の五郎沼の北端、国道の傍らに高さ一丈の古碑が建っている。これは五郎沼を開鑿したときに土中から掘り出したものである。初めは堤の上に投げ捨てられていたので、七、八十年ほど前に村人が金比羅供養塔を建てた際、その台石に使われた。当時、相撲取りとして名高かった陣ヶ岡という者が、ある夜その石塔の前を通ると、忽然と大入道が現れて彼を取って投げつけた。陣ヶ岡が気味悪く思って巫女に聴き合わせると、沼から掘り出した古碑が台石にされたのが残念だから元の処へ戻して建ててほしいとのことであった。それから現在の場所に再建されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
農民俚譚(佐々木喜善(著)・本山桂川(編)・佐々木喜善・東北民俗・1934年(昭和9年))
『農民俚譚』は、佐々木喜善が書きためた昔話や伝説を、その没後に本山桂川が編んで昭和九年に刊行した本である。陸中の和賀郡・岩手郡・胆沢郡で集めた炭焼長者や瘤取爺などの昔話に、河童・山男・山女・人柱・蛇にまつわる伝説、地蔵の話、異類に嫁ぐ女の話を記した「縁女綺聞」、紫波郡の口碑による「鳥蟲木石伝」などを収める。郡ごとの昔話には大正十三年の日付の前書きが付き、巻末に本山桂川の追想「佐佐木喜善君の遺業と其晩年」を置く。