家運を左右するザシキワラシの聞き書き
どんな伝承か
著者が上閉伊郡の各村で集めたザシキワラシの報告である。著者の村は土淵村で、記された町村名はいずれも同郡の内であるという。綾織村字大久保の水口という農家では、正月十四日の吹雪の夜、宮守村の日向の家から囃しながら来たものが門前で音を止め、以来土蔵にクラワラシが住んで家計が豊かになったと伝える。綾織村字砂子沢の多左衛門の家では、屋根の葺替えに来た大工が布団の上を渡り歩く者に一睡もできなかった。鱒沢村字上鱒沢のコスメでは座敷に毎日膳部を供え、それが受けられる間は家運が盛んであった。土淵村字飯豊の今淵家でも夜中に子供の足音がしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。