天狗の神楽で瘤を取られた爺
どんな伝承か
額に大きな瘤のある爺が、柴を売った金で酒を飲み、大木の下でまどろんでいると、木から天狗どもが下りて来て神楽を始めた。囃子が面白く、爺はつい車座の真中へ出て踊り出した。天狗たちは大いに興に入り、明日も来て舞えと言い、その証に爺の額の瘤をもぎ取った。隣家の瘤のある爺がそれを聞いて同じ大木の下へ出かけたが、天狗の形相に怯えて泣き声で舞ったので、天狗は不興がり、前の爺の瘤まで額に付けて木へ登って行った。
原典より
昔或る所に額に拳ほどの瘤のある爺が二人あつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。