鬼の酒盛りで踊り瘤を取られた爺
どんな伝承か
村に二人の爺が隣り合って住み、一人は右の頬、一人は左の頬に瘤を下げていた。気立ての良い爺が山で雨に降られ、大木のうろで雨宿りするうち眠り込み、目を覚ますと鬼どもが焚火を囲んで酒盛りをして歌い踊っていた。面白くなって輪に飛び込んで踊ると、明晩も来い、来なければ大事な物を取ると言われ、思わず頬に手を当てたので、鬼は瘤を大事な物と思って取ってしまった。真似た欲深な隣の爺は歌も踊りもできず邪魔になるばかりで、瘤を返してやれと言われてもう片方の頬にも瘤をつけられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
成田市史 民俗編――昔話・伝説(成田市(編)・成田市史)
『成田市史 民俗編――昔話・伝説』は、成田市が編んだ市史の民俗編のうち、口承文芸の節を収めたものである。昭和五十二年から五十四年にかけての聞き書きをもとに、話者の一覧表を掲げ、喰わず女房や猫の踊などの昔話二十六話、多古の殿様などの笑話二十二話、七不思議・巨人・塚・坂・主の話など成田の伝説十二項を載せる。昔話と笑話の題には『日本昔話集成』の型番号を付し、語り始めの句や語りの場の解説を添え、末尾に世間話の節の冒頭を収める。