三人の子を失った刈屋長者
どんな伝承か
閉伊郡に刈屋長者という長者があった。あるとき庭先で一匹の蛇を叩き殺すと、三つに切れて死んだ。子のなかった長者にはそれから間もなく妻が懐妊し、その喜びようは大変なものであった。ところが生まれた総領は二十歳で死に、続いて次の子も二十歳になると死んで、ついに三人とも失った。長者夫婦は泣き悲しんで恐山へ上り、上人に子どもらの姿を一目でも見せてくれと願った。上人は、姿が現れても決して声を出してはならぬ、儂の衣の袖の下から見ていよと戒めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。