渡場を渡る花染の二人娘
どんな伝承か
和賀郡黒岩という村の渡場に、花染の衣物を着た十二、三ばかりの少女が二人、二子村のほうから来て川東へ渡って行ったことがある。あまりその様子が変なので、ある人がどこから来てどこへ行くのかと尋ねたら、娘たちは、今まで二子の高屋にいたけれども、高屋は貧しくなって居られないから、これから平沢の長洞へ行く所だと言った。長洞の家にはその頃からザシキワラシがいるという。そのザシキワラシは家の相続人にしか、それも一生に一度しか見えないという。高屋長者はその後目に見えて貧しくなり、今は屋敷跡ばかりが残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。